最高裁判所第二小法廷 昭和37(オ)1329 判決
主 文
原判決中上告人敗訴の部分を破棄する。
本件を広島高等裁判所に差し戻す。
理 由
上告代理人片山義雄の上告理由について。
所論は、原判決の引用する一審判決が、本件土地が三〇坪をこえることを以て昭
和三一年七月一日以降地代家賃統制令の適用がなくなつたと判示したのは、同令二
三条二項三号の解釈を誤つたものであるという。
原判決の引用する一審判決が、本件土地が三〇坪をこえていることを理由に昭和
三一年七月一日地代家賃統制令の改正と同時に同令の適用を除外されることになつ
たとしていることは、所論のとおりである。ところで地代家賃統制令は、建物所有
を目的として賃借されまたは地上権が設定された土地の借賃または地代および賃借
せられた建物または建物の一部の借賃を統制するために制定されたものであり、昭
和三一年四月一九日法律第七五号により改正され同年七月一日施行された同令二三
条二項三号の反面解釈によれば、延べ面積が三〇坪以下の建物はその敷地と共に依
然として同令の適用を受けるのであつて、従つて三〇坪をこえる賃借土地であつて
もその地上建物の延べ面積が三〇坪以下であればやはり右統制令の適用を受けるこ
とになるのである。
これを本件についてみるに、本件土地が家屋所有の目的を以て賃借されたことは
原判決の確定しているところであり、一審検証の結果によれば、本件土地上に建物
の存在することを窺うことができる。そうだとすれば、本件土地上の建物の延べ面
積が三〇坪をこえるものであるかどうか、また本件土地は右建物の敷地とみとめら
れるかどうかを証拠により確定しなければ、果して本件土地が同令の適用を除外さ
れるかどうかを決定し得ないものといわなければならない。もつとも、上告人は本
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件土地が昭和三一年七月一日以降地代家貸統制令の適用を受けなくなつたことを認
めているが、同令の適用があるかどうかの陳述は、単なる法律上の意見を述べたに
とどまるのであるから、同令適用の有無を判断するにあたり、右陳述に拘束される
べき筋合ではない。然るに原審が、右の諸点につきなんら審理を尽すことなく、漫
然本件土地が三〇坪をこえるとの一事を以て、昭和三一年七月一日地代家賃統制令
の改正によつて同令の適用がなくなつたと判断して、従前の地代とは全く別個に近
隣の地価地代を斟酌して本件土地の地代を算出するに至つたのは、同令二三条二項
三号の解釈を誤まつた結果審理不尽、理由不備の違法を犯したものといわざるを得
ないから、論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。しかして、本件について
は叙上諸点につきさらに審理判断を要するものと認められるから、本件を原審に差
し戻すのが相当である。
よつて、民訴四〇七条一項に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
最高裁判所第二小法廷
裁判長裁判官 奥 野 健 一
裁判官 山 田 作 之 助
裁判官 草 鹿 浅 之 介
裁判官 城 戸 芳 彦
裁判官 石 田 和 外
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